■私のペン画について
私のペン画は、多くのペン画家のそれと大きく異なる点があります。 それは、ペンのほかに筆を多用することにあります。 したがってペン画と呼ぶには少しとまどいがあります。 通常は線を、タテ・ヨコ・ナナメに重ねることで明暗を出しますが、 私の場合、線を太く、細くする事でその明暗を出します。 古くはダビンチのデッサンや、デューラーの銅版画に見られますが、 私はペンとミゾ引き(※)との併用で描きます。 それによって、ペン画では難しいとされた人物、特に人の肌の表現などが可能になりました。 なによりペン画では凹凸がよりリアルになります。 そして最大の特徴は、拡大に耐えないとされたペン画が、数倍・数十倍に拡大したとしても より見栄えや迫力が出るように思います。 線を重ねたペン画は、網目がかって光沢が出にくいのですが。この技法では光沢の表現も可能です。 ガラス棒で定規のミゾをなぞりながら、筆が自由に動き、上下・太く細く・そして曲線を引けるまでには 時間と労力が必要となります。 簡単にはできないという唯一の難点もありますが、 私の独自の技法であり、国の内外にも他にはいないと自負するところであります。 |
2003年8月 斎藤信男 |
※ミゾ引き 古くからある日本画の技法。 30cmの定規になぜミゾがあるのかご存知でしょうか。 これは、丸い球のついたガラス棒を用いて線を引く為のものです。 日本画では古くから髪の毛などを描くのに用いられていました。 |